公開講座を開催しました 2021/6/19(土)
「障害や病気と生きるこどもの育ちを支える」〜 本をとおして できること 〜
講師:亀井智泉さん(長野県医療的ケア児等スーパーバイザー、信州大学医学部新生児学・療育学講座特任助教)
障害や病気と生きるこどもたち、医療的ケア児等の地域生活支援の必要性と現状について、まずはわかりやすくお話くださいました。
ちょうど今月、医療的ケア児支援法案が国会で可決されたところですが、医療的ケア児等の支援、とくにあえて「 “ 等 ”をおとさずに支援をしたい」「医療の助け、医療の目と手の関わりが必要なすべての子どもへの支援ととらえたい」と熱く語る亀井さん。
さらに、障害の概念も広がっており、虐待や災害などの記憶ゆえに社会参加に困難のある子ども、生きづらさを抱え心理的ケアが必要な子どもたちにも支援の手を。と話されました。
また、「医療的支援により子どもの命は守るが、かれらの冒険はとめない」「障害や病気により年齢相応の経験やことばの獲得が足りない子どもたちに、疑似体験、そして、ことばの輪郭を体感してもらうために “ 本の力を! ” 」と続けられました。
そして、いよいよ絵本のおはなし。
発達支援>療育 に欠かせない「本」。医療者ではない大人ができること…
本を通して、人への信頼「人間」として生きることを伝えたい。
「本」は子どもの「世界との出会い」の窓になる。
子どもは昔話で冒険をする。
「本」との「お付き合い」でわかるその子の潜在能力。などなど。
絵本と子どもにまつわる具体的な事例・エピソードをたくさん紹介してくださいました。
最後に力説されたのは、「特別支援教育、発達支援の場に、もっと本の力を!」「本を届けるしくみがほしい、つなぎ手が必要だ」ということ。
「ケアの必要な子どもたちそれぞれに、共感・冒険・広い世界を教えてくれる本を選んで届けてくれる大人がいたら、現実社会で生きる力を持てる子がきっといるはずです」
〈 参加者の声 (一部)〉
・亀井さんのような方が細やかな活動をすることで世の中が少しずつ変わっていくのだなぁと思います。
・子どもや家族に寄り添い、経験を積まれ、かつ、子どもの状態や変化・育ちを見逃さず、それを多くのひとに “ ことば ” として伝える使命を持った方だなぁと思いました。「本」はそれを届ける大人の在りようで子どもの育ちを支える力となる!と確信できました。
・絵本を届けることで生きる力を育てる支援ができる「おとな」になりたいと思いました。
・子どもの創造力を拡げ、気持ちを表現できる本の世界をもっと学びたいと思いました。本をとおして得られる喜びを伝えられるよう感性を磨いていきたいです!
亀井智泉さん
長野県医療的ケア児等スーパーバイザー。信州大学医学部新生児学・療育学講座特任助教。第一子が周産期トラブルで重い障害を抱え4歳で他界。この体験から当事者同士の励ましあい、支援者と家族の思いを代弁してつなぐ様々な活動を始め、現在に至る。著書に『陽だまりの病室で 植物状態を生きた陽奈の記録』、『重い障害を持つ赤ちゃんの子育て 陽だまりの病室で2』(ともに メディカ出版)。
公開講座の会場では、当会が学校で巡回展示している「いのちの本展 〜 みんないっしょに生きている 〜」より、障害や病気への理解を深めるための絵本を厳選して展示しました。
(「いのちの本展」の学校巡回は、コロナ禍、令和2年度より休止中)
感染防止対策を講じて開催しました。
対面での講座、直接お話をお聞きすることができ元気と勇気をもらいました。
これからも地道に活動を続けてまいります。
講師の亀井さん、公開講座に参加してくださった方、また、いつも活動を応援してくださる皆さまに心より感謝申し上げます。
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